―鷲頭杜氏はどんな方でしたか?
穏やかな方でしたよ。至って温厚で、酒には厳しいが、
声を荒げて人を叱ることはありませんでした。
利き酒に対する、熱意は誰よりも勝る方でしたが、
普段そこまでお酒を飲む方ではなかったです。
利き酒の腕にも関わってくるせいか、健康面に気を使い、
多くの酒を飲んでいる姿はあまり見たことがありません。
―鷲頭杜氏のお酒に対する姿勢は
どの様なものでしたか?
酒造りには、とにかく真面目で妥協しない方でした。
朝6時に蔵に来て、麹の状態を確認するのを日課にしていましたね。
その後の出麹の際も麹を利き、仕込みの期間は常に造りの状態を確認していました。
そして調合の時は、納得行くまで利き酒を、何度も何度もしていました。
一時間以上もしていることもあって、とにかく細部まで酒の味を見極めるまで、
気が済まないといった感じでしたね。
―鷲頭杜氏とお仕事をされる中で、
印象的だった事はありますか?
鷲頭さんに言われて、熊本まで日帰りで出品酒用の吟醸酵母を
取りに行かされたことがあります。
朝一の新幹線で羽田空港へ行き、そこから飛行機に乗って熊本へ…
むこうの酵母の会社に着いたはいいが、居たのは30分程度でしたよ。
なんであんなに急いで取りに行かされたのか、それは今でも謎です。(笑)
鷲頭さんの酒造りへのこだわりは、一分一秒が影響するんでしょうか…
でもそんなのも良い思い出ですね。
―いま、もし鷲頭杜氏が
「極上吉乃川鷲頭」を飲まれたとしたら。
決して褒めてはくれないでしょう!
とにかく酒には誰よりもこだわりのある方だから。
たとえどんな酒でも素直に「良い」とは言わないんですよ、そういう人です。
もしまたもう一度お会いすることができたら、一緒に利き酒をしたいですね。
でもきっと利き酒の腕では、まだ勝てないんでしょう。
代表銘柄である「極上吉乃川」の発売から30年が経ちました。
鷲頭の技術と熱意を継承した今の杜氏・蔵人たちが「越淡麗」を100%使用し、
吉乃川、そして鷲頭が常に追求してきた
「吉乃川らしさ」「飲み飽きないうまい酒」の原点に今一度立ち返った酒。
それがこの「極上吉乃川 鷲頭」です。
新潟の風土を愛した鷲頭昇一。
私たちは鷲頭の想いと技術を受け継ぎ、今日も明日もチャレンジを続けていきます。
皆さんが今日と変わらぬ「いつものうまい酒」を楽しく飲むことが出来るように。
【「鷲頭」揮毫の想い】 楽書家・今泉岐葉
楽書家・今泉岐葉
(Rakushoka KIYO-IMAIZUMI)
楽書とは、言葉のイメージに合わせて筆文字を表現する、デザイン&アート書道です。
2005年に「楽書家」として仕事開始。
現在「岐葉の楽書塾」を銀座、柏、我孫子で開講。カルチャーセンター講師。日本デザイン書道作家協会正会員。
吉乃川(株)の日本酒「中汲み」と「朱鷺」のロゴ。
料理の鉄人、笹岡隆次氏の新丸ノ内ビル「笹岡」にインテリア書「心」を揮毫。
ドイツ、ニューヨークでグループ展。
書道パフォーマンスは、そごう、イオン、結婚披露宴、震災復興イベントなどで経験多数。
楽器や歌や花や茶道などとコラボレーションも。